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株主提案20件! HOYAの株主総会 [楽しい資産運用]

6月21日火曜日。HOYAの株主総会は、色々と考えさせられました。

今回は株主からの提案が20件もあって、まともに審議したら、いったい何時間かかることだろうと思って出かけたのですが、実際この株主提案のおかげで事業報告がものすごく簡潔に済まされてしまいました。招集通知と共に届く事業報告書も、あれ、いつもこんなに端折ってたっけ?というくらい簡単で、事業がどうなっているのかイメージが湧かない。しかし総会の場でも、報告書以上のプレゼンテーションは無かったのです。

もっと事業のことを知りたいと思う間もなく、話題の中心は株主提案に移りました。なにしろ20件ですからね。提案者はほぼ一人。招集通知によると380個も議決権を持っているってことですから、いい加減な冷やかしではできません。内部のことをよく知っている人物でしょうか。たくさん提案は、ほぼすべてコーポレート・ガバナンスに関して定款変更を求めるものです。定款に盛り込むには内容が細かすぎたり、少々行き過ぎていたりということはありますが、そこそこまともな内容で、部分的には納得できます。簡単に言うと、同族経営や社外取締役中心の取締役会に対する不信感の表れ、と言っていいと思います。

残念なことに、書面ではきちんと書かれているんですが、この株主氏、話しているうちにどんどん早口になって、ついには何を言ってるんだかわからなくなっちゃう。聞いてる方は、彼の怒りのレベルについていけなくなってしまいました。総会の場では、賛同する株主はほとんどいなかった感じです。

でも総会を通して発言を聞いていると、提案者の気持ちもなんとなく想像がついてきました。業績は良くない。旭光学の買収は気に入らないし、HDD事業の縮小も納得行かない。経営戦略が間違ってるんじゃないのか。取締役たちは本当に能力があるんだろうか、と思って見てみると、社外取締役が多くて、HOYAの事業をどこまでよくわかっているのか心もとない。今後の事業の柱となるはずの医療機器を率いるのは、日産自動車から来た人物だが、なぜ自動車?そもそも社長が一族の御曹司だ。これで大丈夫なのか? …と、こんな感じではないでしょうか。それが20の株主提案となって表れているように思います。

昨年のエーザイ、2年前のHOYAの株主総会のメモにも書きましたが、私は社外取締役というものには懐疑的です。ただ、2年前私は「HOYAは社外取締役によるガバナンスを信じて真面目に取り組んでいる、珍しい会社なのだ、と好意的に見ています。」と書いていました。通常の会社の「社外」取締役はとても取締役を監督できるとは思えないけれど、HOYAについては監督できるくらいの重鎮を揃えているな、と思ったのです。

しかし、社外取締役というシステムは機能しているにしても、こうして業績が落ち込み、将来像も見えにくくなってくると、このシステムの欠点が非常に気にかかるわけです。つまり、社内を取り締まる役割は果たしても、正しい経営判断をする役割は果たせないんじゃないか、という疑念です。

実際こうして総会でひな壇に並ぶ高齢の重鎮たちを眺めていると、なんだか全く「事業の香り」がしないのですね。委員会方式ですから「指名」や「報酬の決定」はするけれど、「事業」はやっていない。そんなふうに見えるわけです。ずっと以前、株主総会の出席者が十数名しかいなかった時代から株主だったという方が、以前はもっと事業の成長について語り合ったものだ、今の取締役会は何をしとるんだ、というような発言をしていましたが、その気持ちはよくわかります。このような取締役の面々を見ていると、どうも愛着が湧かないとでも言いましょうか、頑張れよ、という感じにならないのですね。

愛着が湧かないからと言って、取締役会がうまく機能してない、とは判断できませんが、このように社内から昇進する取締役が極端に減ってしまうと、社員のモラルが落ちるのではないか、という疑問はやはり残ります。そして、こんなことまでして取締役を監督する必要があるんだろうか、という疑問に至るのです。やはりこの発想は、日本にはなじまないのではないか。取締役に多くの外国人が入ってくるほどグローバル化しているわけでもないのに、HOYAにそこまでやる必要はなかったのではないか、と。

株主の立場に立って監督する、という性悪説的な発想は、極めてアメリカっぽい。愛社精神のかけらもない人物が取締役に紛れ込んでしまう、という事態を、日本企業に想定する必要がどのくらいあるのか、という話です。企業文化が違えばコーポレート・ガバナンスのあり方も違ってきて当然ではないでしょうか。

取締役会について、ガバナンスについて、色々と考えることのできた株主総会でした。本当はもっと事業のことを聞きたかったんですが、あまりに雰囲気が悪く、久しぶりに最後まで質問せずに聞いておりました。ただ、一番聞きたかったことは他の株主さんが質問してくれました。デジタルカメラ事業の戦略について、ですね。一眼レフのみ注力、とのことです。コンパクトは既に自社生産はしていないが、小売店の棚を確保するためだけにやっている。PENTAXのブランドを存続させるために、HOYAの傘下に無い方が良いと思えば売却も考える、ということで、それ自体は納得できる説明でした。

先日のナムコの話じゃないけれど、以前はあんなに儲かった「デジタル」関連の利益がどんどん薄くなって、生活密着型の事業に焦点を合わさざるを得なくなる。その時に依然と同じような、会社としての強味を発揮できるのか…?医療機器で存在感を示せる時まで、我慢の日々、ということでしょうか。

タグ:HOYA 株主総会
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